近年、少子高齢化がどんどん進み、空き家問題も深刻な社会問題となってきています。
それと同時に、進学や就職のため、地元を離れる方も多くいます。一度離れるとその先での生活があり、なかなか戻ってくることはありません。
遠く離れた場所に実家をお持ちの方、その多くは相続が発生したからとって実家に戻ることは難しいのではないでしょうか?
では、相続をした(元)実家に戻ることもなく、そのまま空き家として放置しているとどうなるでしょうか?
最悪の場合、「空き家等対策の推進に関する特定措置法」の特定空き家に指定され、地方の公共団体から空き家を撤去され、その費用を請求されるといったことになります。
自身で解体するより代執行の方が割高になるのはいうまでもなく、大変な不利益になります。
そのため、この「相続した空き家」は、所有者にとっては非常に大きな問題となってのしかかってきます。しっかりと考えて、対策を講じなければあなたを悩ませ続けることになってしまう恐れがあるのです。
空き家を放置することにメリットなし。まずは空き家をどうするかの前に、どうできるのかを知っておくべきでしょう。
売るにしても、貸すにしても物件価値として魅力がなければ話にならないという厳しい現実を見るところから始めましょう。
そもそも空き家はどうしてなかなか売れないの?
立地条件や、構造に関することを変えることはなかなか難しいのですが、建物や土地はある程度手入れが可能な部分です。
それを怠っている物件では、そもそも売るための魅力が半減していることがほとんどで、売りたくても買い手がつかないのが現状です。買い手の購買意欲に引っかかるような物件にしていくことが大切です。
近隣相場より割高である
これはもう塩漬けということになります。不動産屋さんに売りたいと願い出たとしても、周辺相場より高い値段を出すと、当然売れません。運よくお客さんがつけばいいのですが、そんなリスクの高い物件に不動産屋の営業マンが力を入れることはまずないと思って間違いないでしょう。
見るからに何年も住んでいなさそうな空き家だから
不動産屋さんの営業マンに連れられて物件の内覧をするとしたら、あなたならどうでしょうか。
全く手入れもしていない、伸び放題の雑草をかき分けて入って行かなければいけないような家を、わざわざ内覧しようと思いますか。
そんな物件を好んで購入しようという気にはなりませんよね。買い手側の気持ちを考えると最低限の手入れはしておきたいところです。
雨漏りやシロアリ、カビなどで傷んでしまっているから
家は、住まないとどんどんと傷んできます。木造建築物は、定期的な換気や手入れを行わないと、湿気がこもりカビが発生するのです。
傷んだ建物は、シロアリの餌食になるのも時間の問題です。
外見だけではなく中身もしっかりとしていないと価値がなくなってしまいます。建物は築20年も経つと物件価値はなくなるといいますが、しっかりと手入れのされている建物はそれなりの価値が残り、売却の際の大きなポイントにもなるのです。
もちろん敷地境界に設置されている塀やフェンスなどもくたびれているのなら撤去、もしくはリフォームも検討すべきですね。
土地や建物の権利が明確でないことがあるから
一軒家の売却の際は、土地等の権利を明確にしておく必要があります。その他にも隣地境界線の有無、土地測量図、境界確認書などはしっかり管理し、権利のわかる書類は確実に作成しておきましょう。
売却対象地の範囲が明確でない場合は、そもそも不動産屋に申し入れを断られるか、最悪の場合は売却後に買主とトラブルにつながる可能性もあります。
再建築不可物件だから
再建築不可の物件はいろいろなケースがありますが、どんなケースにおいてもそのままの状態で建て替えることは原則としてできず、何かしらの対処を講じなければなりません。
将来的に建替えをしたくてもそのままでは不可能な物件なので、買い手は非常につきにくいでしょう。
以上のような物件は不動産屋さんに売却の依頼をしてもなかなか難しいといえます。
たとえば、あなたが今、マイホームを購入しようと考えているときに購入の候補に挙がるでしょうか。
それらをも凌駕するメリットがあなたにあれば、購入を検討するかもしれません。しかしそんなところに期待をしていつまでも待っていると、刻一刻と劣化は進み、毎年かかる固定資産税も払い続けなければなりません。では、そうならないためにはどうしたらいいのでしょうか。
相続した空き家を、売れる家にするためには
そのまま売る
文字通りそのまま売却。後のことは不動産屋さんにおまかせして、現状のままで取引をする、という方法があります。
しかし、それがうまくいくほどにはなかなか甘くありません。現状のままで売却するのですから、不動産屋は次の売却のためにあなたから購入する額を高くはできません。何かしらの手を加えて次のお客さんへ売却するので、あなたへの金額は相当低い額になる可能性が相当高いでしょう。
それでも、タダよりはマシ、住まないし活用もできない空き家に固定資産税を払い続けるよりは…というのであれば、そのまま売ってしまうことも検討してもいいでしょう。
解体して更地にする
売却するのであれば、更地にしてしまうという方法もあります。もちろん解体のための費用はかかりますが、空き家のままでは売り手がつかないので、いっそのこと解体したほうがよい場合もあるのです。
売却時の価値がない、もしくはマイナスのイメージの要因の空き家を解体することで、土地購入を検討されている人にとっては、今後の土地活用のイメージがつきやすいのです。そもそも土地購入を考える人というのは、たいていが新築工事を希望している人です。その場合、解体の手間も費用もかかる空き家つきの土地よりも、更地の方を選ぶであろうということは想像に難くないでしょう。
また、更地であれば管理もしやすく、何よりも近隣住民とのトラブルも最小限に抑えることができるでしょう。
リフォームして売る
空き家そのままでは価値がなくても、しっかりとリフォームやリノベーションをすることで蘇るケースがあります。
ただし、こちらの場合も費用はかかります。しかし購入を検討している方のイメージもつきやすく、結果、早めに手放すことができるといったことにつながりやすいといえるでしょう。
設定金額に幅を持たせる
こちらは戦略的なことになりますが、あらかじめ設定している金額にある程度の幅を持たせることによって、検討中のお客さんの背中を押す決定打になることもあります。
周囲の相場の変動にも対応できることから、比較的有効な手段として用いられることがあります。
まとめ
近隣に売りに出ている物件よりお得感を出すことで、購買意欲をかき立てるということは、売却の際に使われる手法です。
逆に近隣の物件より割高だったり、条件が低かったりする物件は、いわゆる「当て物」といわれます。資産価値の低い空き家は、不動産屋さんの営業マンが購入検討をしているお客さんに、あらかじめ決定率の低い物件をわざと見せる、つまりこの「当て物」として、利用されることになりかねません。
そうなれば営業マンたちは力を注いでくれません。ほかの売れそうな物件に力を注ぐために使われてしますというわけです。
ほかの物件に興味を持たせるため、見せるだけの物件として扱われるほど辛いものはないでしょう。
そうならないためにも、相続した空き家にもできるだけの価値を持たせて売却できるようにしたいですね。