空き家を相続したら行う手続きと流れについて、ポイントを確認しよう

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空き家の相続の対象となる「空き家」とは、主に「親が住んでいた家」、つまり実家です。

つい最近まで人が住んでいたならそこまで深刻ではありませんが、空き家になってしばらく経ったものはさまざまな要素が絡み合って、問題が深刻化しているケースも少なくありません。

何より、家の相続などということは初めてで、何からやっていいのかわからない、必要な費用や手続きなどもさっぱり知らないなどということがほとんどでしょう。突然来る相続にもしっかりと対応できるように日ごろからの準備をしたいですね。

しかしながら、相続にはいろんなケースがあり、一筋縄ではいかないものです。そこで今回は、相続発生から相続の仕方までを簡単に説明します。

ケースによってはあてはまらない場合もありますので、細かいことは税務署や弁護士事務所に相談することをおすすめいたします。

空き家相続の流れと手続き

近年、社会問題にもなっている「空き家問題」は、もはや他人事ではありません。

煩雑な手続きが多いイメージのある「相続」。ましてや空き家の相続に関しては、まずは「空き家を相続することの意味」をしっかりと把握しておくことが大切です。

たとえば、空き家に資産価値があるのか、それともないのかで対策も変わってくるのです。

また、空き家にしてしまうことで適用されない制度というのもあります。「小規模規模宅地の特例」というもので、最大で相続税評価額を8割減にすることができます。

要件がありますが、満たすことが可能であれば「空き家ではなく前所有者が住んでいた家という扱いにする」などの対策を行っておくといいでしょう。

被相続人の死亡による相続発生

まず、今後住む予定のない実家、空き家もしくはアパートの所有者が亡くなることによって被相続人の相続が発生します。

この時点で必要なのが以下の2点となります。

a.死亡届提出

b.遺言書の有無の確認

※死亡届は故人の死亡を知ってから7日以内に提出しなければなりません。

※遺言書の有無によって相続人や相続分が変わったり、あるいは相続に必要な書類も変わってきたりしますので、しっかりと有無の確認をしておくとよいでしょう。

相続人の確定・相続財産調査

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員(遺族)の戸籍謄本と印鑑証明などを用意。

これによって相続人が誰なのかを確定できます。このとき「この人は誰?」という方の名前があったりもします(普段全くつきあいのない親戚など)。

人数が多い場合は身分関係図などを作成してもよいでしょう。

遺産分割協議書

被相続人の遺産を相続人(遺族)でどう分割するかを記録する書類です。相続人全員の直筆による署名と実印が必要になります。

これが必要になるケースというのは、「遺言書がなく、かつ法定相続分割で分けない場合」です。

遺言書がない場合は民法に則って法定相続割合で分割するといいのですが、そうではない場合には遺族間でのもめ事を避けるために、遺産分割協議書を作成しておきましょう。

遺産分割協議でも折り合いがつかない場合

相続人の満場一致で決まると問題はないのですが、折り合いがつかず、まとまらない場合もあります。

そのときは、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てを行い、解決を図ります。

調停は裁判所で行うのですが、ドラマや映画で見かけるような雰囲気のものではなく、基本的に話し合いです。

ただ、相続人たちで話し合うのではなく、調停委員会(通常は担当裁判官・調停委員2名)がつき、それぞれ個別で相続人と話し、意見調停をして調停案を作成して遺産分割協議の成立を目指します。

結果として、相続人の間でまとまれば調停は成立しますが、まとまらなければ調停が不成立となり、審判へと移行します。

審判手続きでも家庭裁判所からの和解案が提示されることが多いようですが、それでも和解が成立しなければ家庭裁判所は、不服の申し立てをしている当事者の主張や証言・証拠などに基づき審判し、遺産分割について判断することになります。

分割相続

相続人が複数の場合、遺産分割が原則にはなりますが、相続財産が現金ではなく不動産の場合は現金のように簡単に分けることが難しくなります。

そのような場合は遺産分割方法として次のようなものがあります

・現物分割…共有不動産を分筆して区分所有し、土地や建物を共有持分権者が所有すること。

・代償分割…相続人の一人、または複数人が遺産を現物で取得し、その遺産を取得した代わりに他の相続人に債務を負担する(代償金、またはその他の財産を支払う) 。

・換価分割…不動産や動産物を現金化して分配すること。

・共有…文字通り複数人の相続人で共有名義にして取得すること。

などがあります。

相続財産の名義変更

ここでやっと分割された財産の名義を変更します。

相続分の整理がついたら、金融資産なら銀行口座、不動産なら法務局で名義を変えましょう。

被相続人の死亡によって空き家になった不動産を今後売却、あるいは解体工事をするのならば登記の手続きは早めにしておきたいところです。相続登記すら終わっていないものは売却や賃貸に出すこともおすすめできません。権利関係がより複雑になり手続きが進めにくくなる恐れもあります。

法定相続による登記は、相続人1人でもできますので、他の相続人が登記をして自分の持ち分を売却してしまうこともあり得ます。売却後に他人が空き家に権利を持つことになれば、さらに問題は起こりやすく、深刻になっていきます。

相続税の納付

相続税は、人が住んでいない空き家にももちろん課税されます。

人が住んでいる場合には、その利用状況によって小規模宅地の特例が適用されるケースがありますが、一方で、長期にわたり人の住んでいない空き家では小規模宅地の特例は残念ながら適用はされません。

実際に相続が発生してからでは、できる対策も限られてしまいます。

しかしながら相続税には基礎控除というものがあります。被相続人から引き継ぐ財産の全額が基礎控除額より下回るのであれば必要ありません。

相続方法

仮に相続する財産が基礎控除額を上回ると、当然ながら相続税の納付が義務付けられます。

相続開始から10ヵ月以内に申告及び納付をする必要があります。相続税の控除額の計算式は、3000万円+(600万円×法定相続人)となっています。

ちなみに平成27年の相続税法改正で基礎控除額が4割も減額され、そのことによって相続税の申告対象者が増加しました。不動産なら毎年発表される路線価にて資産価値を確認しておくとよいでしょう。

まとめ

相続というのは、基本的に煩雑な手続きがつきものです。元の持ち主がすでに話し合いの場に存在しない、という特殊な状況であるだけではなく、そこに残された人たちのさまざまな心情や利害関係も絡んでくるため、かかる時間や精神的な重荷も相当なものです。さらに「空き家」という、資産価値のあるなしで状況も変わってくるものの相続となると、手続きや流れはもっと面倒になるでしょう。

いざ「そのとき」が訪れてからあわてて対応するのではなく、普段から関連知識をしっかりとたくわえ、状況を把握し、心の準備を含めさまざまな用意を進めておくことが重要です。この記事ではざっくりとした流れや手続きについて解説しましたが、細かいことや疑問点は身近な専門家に気軽に質問・相談してみてはいかがでしょうか。

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